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持ち寄りアーカイブズ(4)映画『SF核戦争後の未来・スレッズ』

「持ち寄りアーカイブズ」は、ネットではなかなか見れない、自分の「うち」に埋もれている資料、私的に所有する資料を少人数で閲覧し、自由におしゃべりしながら、閲覧して気になったことや関連する資料を調べ始めるきっかけをつくるための時間です。
この時間を重ねていくことで、一期一会の持ち寄りのアーカイブズ、その資料の集まり方、それによって生まれるもの、調べるきっかけの記録が「自分で調べる図書館」に蓄積されていきます。
選書や資料収集のリクエストにもなり、新しい資料を「自分で調べる図書館」に入れることにもつながります。
この日の調べるきっかけ資料は、
『SF核戦争後の未来・スレッズ(原題:Threads)』(BBC、1984年)
<第一印象トーク、気になったことなど>
アメリカABC製作の『ザ・デイ・アフター』(1983年)と比較すると、
・結婚間近の若いふたりとその家族の日常から始まるのは似ているが、『スレッズ』では女性がすでに妊娠している。イギリスらしさなのか、家族の会話が少し面白い。
・若いふたりの家族の日常と並行して、テレビやラジオが核戦争への危機を伝え始めるのも似ていたが、軍人によるオペレーションが進められて自国のミサイルが発射されていくのを医者や学生が呆然と見送る『ザ・デイ・アフター』に比べると、その時のために計画されている行政の対応や、市民への対応策の呼びかけ、反核デモや略奪のような、社会的な反応がより描かれている。
・『ザ・デイ・アフター』は、危機の状況がやや曖昧で、自国からミサイルが発射されたのを見て、すぐに(◯分後に)報復がくるはずだという間を感じさせることで、大量に飛来して着弾するシーンのインパクト(敵の意図)を強く感じさせるが、イギリスの立場が反映しているのか、『スレッズ』は客観的に状況が日付で進んでいく演出なので、観ている者に「その時」や「敵」を感じさせる恐怖の効果は薄いかもしれない。最後通告の日が過ぎて警報が鳴り、その瞬間になる。
・『ザ・デイ・アフター』では「死の灰」が降るが、『スレッズ』では「核の冬」が描かれている。
・『ザ・デイ・アフター』は若いふたりが(おそらく最期に)再会するのに対して、ひとりで娘を出産する『スレッズ』は世代を越えて影響が繋がっていく。
・『ザ・デイ・アフター』は、すぐに休戦協定のニュースが流れる。『スレッズ』は、政府の、世界の、完全な壊滅状態を示唆している。つまり、他の地域からの国際的な援助もないように見える。もう元には戻らない「核戦争後」のイメージ。
・どちらの作品にも言えることだが、被曝直後、地下に避難した人が助かるとしても外に出ずにはいられないのではないか、病院の悲惨な状況が描かれてはいるが重症を負った人々が外にはたくさんいるはずではないか、といった点などで、映像の表現として控えているところがあるように思われる。
・ノイズ、悲鳴、うめき声、ゲロを吐くなど、『スレッズ』の方が、比較的、人間の匂いや心境・感情を、汚い音によって出そうとしているように感じられた。
・『スレッズ』では、『ザ・デイ・アフター』の若い医者のような、日本人、日系人らしき人物は出てこない。
◾️ 実施要領
参加無料、予約不要です。
調べるきっかけ資料の持ち込み、紹介者:1名(最初に資料の閲覧と紹介を行います)
調べるきっかけ資料に関連する資料の持ち込みを歓迎します。きっかけ資料を閲覧した後、関連資料がありましたら教えてください。
飲食の持ち込みも自由です。